とくべつな日にありきたりな言葉を
こんな日にはある物語のことを考える
魔法使いの物語だ
その魔法使いは眩しい舞台の上からわたしたちにないしょの魔法をかける
いつ解けるかはだれにもわからない
どきどきしたり、わくわくしたり、連ねたら朝を迎えてしまいそうなくらいたくさんの、この世にあるぜんぶの感情をおしえてくれる魔法である
魔法使いの正体はだれかって?
れんくんだ
わたしはれんくんに魔法をかけられている
これはだれにも言ったらいけない秘密なんだけれど……今日はとくべつな日だからね
なんちゃって
とくべつな日だから、なにかとくべつな言葉を綴りたかったのだけれど、なんせきみは数えきれないほどいっぱいのひとに愛されているんだもの、こういう日に似合うような言葉はもうぜんぶ贈られ尽くしているよね
だから、最後にありきたりな言葉で締めるから、それまで少しきみの話がしたい
れんくんはわたしの唯一のきらめきである
唯一なんて言うと大袈裟にしているようで、なんだか重たいものを背負わせているようで、勝手に申し訳なくなってくるけれど(笑)
でもほんとうにそうなんだ
こんなこときみは知る必要がなくて、それが良くて、わたしがきみに募らせる「好き」は、きみに届くときにはぜんぶのいちぶになっていて、でもそのでっかい「好き」をまとめて受けとめてありがとうって返してくれるきみがいるから、わたしはたすけられている
そしてその「きみ」はどうしたってれんくんが良いんだ
何故なのか、考えてみるけれど
そもそもわたしはれんくんのことを何も知らない
見せられている「部分」がほんとうなのかうそなのか、それすらも知らない
でも、きみが見せてくれているところだけは信じたくて、見てほしいと思っているところだけは見ていたくて、それがすべてで
わたしはほんの少しのほんとうを好きなようにぜんぶにするのである
わたしにとって、きみはぜんぶだ
これからもそんなほんの少しのほんとうを知りたいから、きみを探す夢を見続ける
こんなにも毎日れんくんのことが好きだけれど、何度目の好きなのかさえもわからないけれど、きみがわたしの「好き」をひとつひとつ違う色に染めてくれるから、明日も好きを繰り返す
カラフルに染まったこの「好き」たちを花束にしてきみに、はさすがに烏滸がましいから
わたしのなかに飾っていようかな
きみの話がしたいと言いながら、着地点を見失ってしまったわけだけれども、結局どんな風にきみへのきもちを形容しようとしたところで意味がないことだけは知っている
きみがそこにいるかぎり、どんな言葉も無力である
きみがいることがわたしのしあわせで、きみがきみでいることがわたしのしあわせだ
今日からはじまるこの一年も、れんくんが笑いたいと思う瞬間がより多くあることを願っているし、悩んで夜空を仰いだときがあったとしたら、ひとつでも多くの星がきみを照らしてくれたらいいなと思っている
123からはじまるこの物語の結末はだれも知らない
だから、まだ魔法にかけられたままで
お誕生日おめでとう
とってもとってもだいすきです
この言葉にすべてを込めて